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書籍「交通事故民事裁判判例集 第42巻 第4号」(P.945~950)


書籍「交通事故民事裁判判例集 第42巻 第4号」

名古屋地裁 平成21年7月21日判決
・・・
二 争点
(1) 原告甲野と三郎は内縁と認められるか。
(原告甲野の主張)
 原告甲野と三郎とは、平成13年1月ころから愛知県西春日井郡豊山町内で同居して生活を営んでいた内縁の夫婦で、平成18年6月ころ入籍する予定であった。
(原告丙川両名の主張)
 原告甲野は、三郎を内縁の妻ではない。内縁の妻というには、婚姻の意思と夫婦共同生活との存在を要するところ、三郎の父母は入籍の話を聞いていない。
・・・
第三 当裁判所の判断
一 争点(1)(原告甲野と三郎は内縁と認められるか。)
(1) 証拠・・・によれば、以下の事実が認められる。・・・
 原告甲野は、平成12年ころ三郎と知り合った。
 平成13年1月ころから原告甲野の住所で、三郎が入り込む形で同居生活が始まった。各自の車を保有していたが保有していたが、それぞれが他方の保有する車を運転して使用することもあった。
 三郎は、原告甲野のアパートから仕事に行っていた。三郎は、実家へも週1回程度行っていた。原告甲野のアパートと実家は車で5分程度の距離である。
 三郎の郵便物のうち、重要なものは原告甲野方に届くようにしていた。三郎は、印鑑登録手帳、資格証は原告甲野方に置いていた。また、給与明細書も置いていた。
 三郎の住民票上の住所は実家の住所のままにしていた。
 三郎は、名古屋地方裁判所で、平成14年12月27日破産宣告、同時廃止の決定を受け(甲イ38)、さらに平成15年3月28日免責決定を受けている(甲イ39)。
 その後は、三郎の収入は原告甲野が管理するようになった。
・・・
(2) 以上のとおり、原告甲野と三郎との同居生活は5年に渡っており、生計も同じにしていた者であって、内縁の妻と推認される。両者の住民票上の住所が異なっており、また、婚姻予定の関係が必ずしも明確ではないことは、同居期間の長さに照らすと、前記結論を左右するものではない。

 

内縁の配偶者の判断について、非常に興味深い判例です。判決自体には違和感はなく、妥当だろうと思います。
自動車保険において一般的に内縁の配偶者とは「事実上の婚姻関係にあるが、戸籍上の届出をしていないため法律上の配偶者とされない者」とされます。 配偶者かどうかは被保険者の範囲だけではなく、特に自動車保険においてはノンフリート等級の継承にも大きな影響があるため、実務上は一定の判断基準を現場に下して運用しているはずです。 その判断の1つに同居、そして同居の証明はあると思います。
この判例は、夫婦同然の実態が5年に渡って継続されたことで以って内縁と認めたということかと思います。 個別事案としてならともかく、実務上の一律の判断基準で同じ判断をするのは難しいのではないかと思われます。