読んで、おっ!ほぅ?へぇ~

書籍・雑誌やネット等を読んで、「おっ!」とか「ほぅ?」とか「へぇ~」とか思った内容をメモることを目的に始めたブログです。

書籍「ビッグデータの衝撃」

「ビッグデータの衝撃」
東洋経済新報社

2012年(平成24年) 7月27日 発行

城田真琴 著

野村総合研究所イノベーション開発部 上級研究員。
北海道旭川市出身。北海道大学工学部卒業後、大手メーカーのシステムコンサルティング部門を経て、2001年より現職。現在、ITアナリストとして、先端テクノロジーの動向調査、ベンダー戦略の分析、国内外企業のIT利活用調査を推進。同時にそれらを基にしたITの将来予測とベンダー、ユーザー双方に対する提言を行っている。専門領域は、クラウド、ビジネス・アナリティクス、M2M、IoTなど。
著書に、ベストセラーとなった『クラウドの衝撃』(東洋経済新報社)、『今さら聞けないクラウドの常識・非常識』(洋泉社)、共著に『ITロードマップ 2012年版』(東洋経済新報社)などがある。NHK「ITホワイトボックス」、テレビ東京ワールドビジネスサテライト」などのテレビ出演、講演、新聞・雑誌・Webへの寄稿多数。総務省「スマート・クラウド研究会」技術WG委員(2009~2010年)。

ビッグデータに関する知見はあまりなく、いくつかの事例や断片的な説明からこんな感じだろうかと思っていたのですが、この本にはビッグデータの基本的な特徴は勿論のこと、様々な事例やその掘り下げおよびいろんな角度からのビッグデータについての考察がされていて満腹になるほどいろいろ知ることができます。
個人的にはいささか消化不良を起こしてしまっていますが…。

【目次(抜粋)】

第1章 ビッグデータとは何か
 The data delugue
 3Vで示されるビッグデータの特性
 広義のビッグデータ
 なぜ今ビッグデータなのか?① ビッグデータの民主化
 なぜ今ビッグデータなのか?② ハードウェアの価格性能比の向上、ソフトウェア技術の進化
 なぜ今ビッグデータなのか?③ クラウドの普及
 「過去の見える化」から「将来予測」へ BIとビッグデータの交差
 点(トランザクションデータ)から線(インタラクションデータ)の分析へ
 ビッグデータ分析のルーツ
第2章 ビッグデータを支える技術
 人が足りない
 改めて、ハドゥープとは
 増加するディストリビューション
 ディストリビューションが乱立する理由
 NoSQLデータベース
 ベンチャーキャピタルもハドゥープ、NoSQL企業へ熱視線
 ビッグデータ時代のデータ処理基盤
 注目を集めるアナリティック・データベース
 ストリームデータ処理(リアルタイムデータ処理)
 ストリームデータ処理技術を自ら開発するウェブ系企業
 機械学習、統計解析など
 自然言語処理、その他
第3章 ビッグデータを武器にする企業[欧米企業編]
 躍進するウェブ系企業のビッグデータ活用術
 イーベイ(eBay) 毎日50テラバイトのデータが生成
 ジンガ(Zynga) ゲーム会社の皮をかぶった分析会社
 セントリカ(Centrica) スマートメーター導入によりエネルギー消費パターンを分析
 カタリナマーケティング(Catalina Marketing) レジ・クーポンで顧客の購買行動をデザイン
第4章 ビッグデータを武器にする企業[国内企業編]
 国内でも始まるビッグデータ活用
 コマツ 日本におけるビッグデータ活用の先駆け
 リクルート ハドゥープの徹底活用でデータ分析に対する意識改革に成功
 グリー 急成長の原動力となるデータ駆動型アプローチ
 マクドナルド リアル世界でワン・トゥ・ワン・マーケティングを実現
第5章 ビッグデータの活用パターン
 ビッグデータの活用例
 ビッグデータの活用パターンの分類
 ビッグデータの活用レベル
 コラム ダイナミック・プライシング
 ビッグデータ活用の真価
第6章 ビッグデータ時代のプライバシー
 プライバシーとイノベーションの狭間で
 米議会も関心
 ソーシャルプロファイル作成の是非
 「Do Not Track」
 消費者プライバシー権利章典
 オプトイン方式を採用するEU
 データ保護指令も改正へ
 日本において考慮すべきは「個人情報保護法」と各事業分野ごとのガイドライン
 オプトイン方式による第三者提供を採用するガイドラインも
 日本政府の検討状況
 「情報大航海プロジェクト」をきっかけに検討を開始した経産省
 ライフログの観点で議論を実施した総務省
 ヒントはユーザーとの「対話」にあり
 オフラインでの行動トラッキング
第7章 オープンデータ時代の幕開けとデータマーケットプレイスの勃興
 「外部公開データ活用」という選択肢
 盛り上がるLOD運動
 オープン・ガバメントへ波及
 続々と誕生するベンチャー企業
 コンテストの開催でデータ活用を促進
 立ち遅れる日本
 震災を契機にやや前進を見せる国内のオープンデータへの取り組み
 データマーケットプレイスの勃興
 異なるビジネスモデル
 盛り上がるデータマーケットプレイスには課題も
第8章 ビッグデータ時代への備え
 ビッグデータ時代の企業IT戦略
 データシェアに向けて動き出す日本企業
 オリジナルデータを持つことの強み
 ベンダーの新たなビジネス機会は「データ・アグリゲーター
 誰がデータ・アグリゲーターになるのか
 米国で目立つ決済事業者の「データ・アグリゲーター」化
 オリジナルデータを「プレミアムデータ」に変えるデータの掛け合わせの妙
 ニーズ高まるデータサイエンティスト
 データサイエンティストに求められるスキル
 データサイエンティストに必要な資質
 深刻な人材不足が露呈
 大学院設置の動きも
 ビッグデータ分析企業に巨大資金が流れ込む
 日本でも始まるデータサイエンティストの獲得競争
 最後に残る組織体制・企業風土
 データ駆動型企業へ

第4章のコマツのダントツ経営と KOMTRAX の話は、経営の観点から日経ビジネスでも書かれていました。確かに先駆的だし、誰が考えたのか分かりませんが、頭のいいやり方だなと印象に残っています。
同じく第4章のグリーの話ですが、グリー社内でのデータ利活用はともかく、少なくとも「釣り★スタ」での儲けはビッグデータによる貢献ではなく課金のアイデアによるもののような気がします。というのも、データの量・質に依存する内容ではないからです。寧ろ、クリス・アンダーソン著「FREE」の思想に通じるものがある感じがします。