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書籍・雑誌やネット等を読んで、「おっ!」とか「ほぅ?」とか「へぇ~」とか思った内容をメモることを目的に始めたブログです。

書籍「中国自動車保険市場」(P.36~38)

書籍「中国自動車保険市場」
http://shkondo.hatenablog.jp/entry/2012/10/01/003627

消費者に対する強制保険の提供は、中資の損害保険会社で保険監督管理委員会の認可を得た損害保険会社のみ営むことが許されている。
 -略-
次に強制保険業務を営む損害保険会社は、消費者の強制保険加入の意向に対し、この保険引き受けを拒むことはできない。この強制保険の引受義務は、日本の自賠責保険地震保険と同様な考え方であるが、損害保険会社にとって、この運用には大きな落とし穴となる部分がある。それは、中国の強制保険には、日本の自賠責保険でいう「共同プール事務」や、地震保険でいう「日本地震再保険株式会社の機能」がないことである。
 -略-
そして、中国の強制保険の引き受けにあたって、原則、損害保険会社側から契約を解除することはできず、また、例えば保険契約者に任意保険の加入を条件にするなど、追加条件を求めてはならない。従って、任意保険のセット販売など、他の保険を追販することによる全体としての損害率安定化を図ることもできないようになっている。
しかし、中国には日本のように強制保険と任意保険の一括請求制度が存在せず、契約者からみた利便のため、殆どの場合、強制保険と任意保険は同じ保険会社が引き受けているのが実態である。野村総合研究所中国社会科学院研究所との共同研究における中華聯合保険会社の報告では、北京市における該者の実績として、強制保険と任意保険の両方を引き受けている割合が95%で、強制保険のみを引き受けている事例は殆どないとのことであった。
 -略-
一方、中国の強制保険については、保険管理監督委員会が「不損不利の原則(ノーロス・ノープロフィットの原則)」に則って保険料率を審査許可するとしており、実態として、損害保険会社に保険料率の調整・決定権は無く、かつ、保険引受義務を課せられていることから、保有するリスクのコントロールが容易ではない。

2012年5月1日に「強制保険の外資開放」が決定したとP.12にあるので、↑の文章の最初の部分はその前のことを前提にしています。その外資開放を受けて、強制保険の販売に乗り出す際の大きなポイントがココを読むだけで大体分かります。
中国の強制保険は元受保険会社がすべて保有するけど、料率は保険管理監督委員会が決める…なるほど、これはリスク管理が難しそうです。ただ、白地に進出する外資なら損害率の低い地域に絞って進出する手が取れそうな気がします。P.47によるとトラクター以外は全国一律料率なので。あと、一括請求制度がないために実態は任意保険とセットが加入するのが普通なら、現実的には任意保険でリスクコントロールすることもできそうな気がします。
余談ですが、個人的には、ココでは地震保険の話は持ち出さなくてもいいんじゃないかなと思います。あれは強制保険ではないのだし、地震リスクが極めて高い日本固有の部分が多くあるので。