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書籍・雑誌やネット等を読んで、「おっ!」とか「ほぅ?」とか「へぇ~」とか思った内容をメモることを目的に始めたブログです。

書籍「新しい損害保険の実務」

「新しい損害保険の実務」
株式会社商事法務

2010年(平成22年) 4月30日 初版第1刷発行

嶋寺 基 著

弁護士・ニューヨーク州弁護士
1998年 京都大学法学部卒業
2000年 弁護士登録、大江橋法律事務所入所
2005年 カリフォルニア大学バークレーロースクールLL.M.課程修了
2006年 ニューヨーク州弁護士登録
同年  任期付き公務員として法務省民事局参事官室にて勤務(保険法の立案を担当)
現在  弁護士法人大江橋法律事務所 パートナー

 

目次がQになっているので、目次を見ているとその回答を読みたくなります。また、そう思わせるQがうまく作ってあります。保険法の解説本はたくさんありますが、この本のように具体的な例にあてはめて解説している本はなかなかありません。また、Aが分かれば合っているか確認したくなるし、分からなければ知りたくなります。Aを読んでありきたりでがっかりすることもありますが、全体としては期待どおりでした。

 

【目次(抜粋)】

第1章 保険給付の履行期
第1節 総論
Q1 保険法では、保険給付の履行期について、どのような規定が設けられていますか。
Q2 保険会社が保険金を支払う場合には、いつから遅延損害金を支払わなければなりませんか。
第2節 履行期の起算点
Q3 保険会社の約款によれば、どの時点から履行期は起算されることになりますか。
Q4 代理店が請求書類を受領した場合でも、履行期は起算されることになるのですか。
Q5 郵便事故により保険会社への請求書類の到達が遅れた場合には、どの時点から履行期は起算されますか。
第3節 請求書類
Q6 約款や重要事項説明書では、どのような書類が請求書類として定められていますか。
Q7 約款や重要事項説明書に記載された請求書類についても、請求手続の案内の際に、あらためて保険会社から提出の依頼をする必要はありますか。
Q8 約款または重要事項説明書に定める書類以外でも、調査の過程で保険会社から追加書類の提出を求めることはできますか。
第4節 請求手続の完了
Q9 請求手続の案内の際に保険会社から提出を依頼された書類については、その書類をすべて提出しない限り請求手続が完了したことにはならないのですか。
Q10 保険金請求書類や損害の見積書の提出がなかった場合に、履行期は起算することになりますか。保険会社が書類の提出は不要であると説明していた場合はどうですか。
Q11 火災保険において、対象となる建物に生じた損害のうち、一部分についてのみ見積書が提出された場合でも、請求手続は完了したことになりますか。
第5節 保険会社による書類の取付け
Q12 自動車保険において、事故証明書の提出がなかった場合に、履行期は起算されることになりますか。被保険者の代わりに保険会社が事故証明書を取得することとなった場合には、どの時点から履行期が起算されることになりますか。
Q13 後遺障害保険金の請求に必要な書類として、後遺障害診断書のほか、CTやMRI等の検査資料の提出を依頼しましたが、後遺障害診断書のみ提出されました。被保険者の同意を得た上で、これらの検査資料を保険会社が病院から取り寄せた場合には、どの時点から履行期が起算されることになりますか。
Q14 見積書の提出に代えて、保険会社が損害確認のために立会いを行い、損害額の自主積算をした場合には、どの時点から履行期が起算されますか。
Q15 傷害保険において、診断書の提出に代え、保険会社が病院等への医療調査を行った場合には、どの時点から履行期が起算されますか。
第6節 その他の請求書類
Q16 被保険者以外の第三者から保険金請求があった場合には、保険金請求についての委任状を求めることになりますが、この委任状が提出されない場合には履行期は起算されないのですか。
Q17 病院や警察等への照会が必要な場合に、調査等に関する同意書の提出を被保険者に依頼することがありますが、この同意書が提出されない場合には履行期は起算されないのですか。
Q18 火災保険に質権が設定されている場合に、質権者からの直接払指図書の提出を求めることがありますが、この直接払指図書が提出されない場合には履行期は起算されないのですか。
第7節 傷害保険における請求書類
Q19 傷害保険において、死亡保険金受取人である法定相続人が保険金請求をする場合に戸籍謄本の提出を求めることがありますが、この戸籍謄本の提出がない場合には履行期は起算されないのですか。
Q20 傷害保険において、複数の法定相続人が死亡保険金受取人となる場合にその代表者が保険金請求をすることがありますが、この場合に一部の法定相続人から委任状が提出されない場合には、すべての法定相続人について請求手続が完了しないことになるのですか。
Q21 家族傷害保険において、保険契約者とその家族が同一の事故で怪我をしたにもかかわらず、保険契約者本人分の請求書類しか提出されなかった場合に、他の被保険者についても請求手続が完了したことになりますか。
Q22 家族傷害保険と普通傷害保険の請求が同時にあったため、保険会社は普通傷害保険の請求書類に加えて、家族傷害保険における続柄確認のために必要な住民票の提出を依頼しました。ところが、普通傷害保険に関する請求書類しか提出されなかった場合には、どの範囲で請求手続が完了したことになりますか。
Q23 傷害保険において、自動車運転中の事故で怪我をした場合には運転免許証の写しを請求することが約款や重要事項説明書で定められていることがありますが、この場合に運転免許証の写しが提出されなかった場合でも、請求手続は完了したことになりますか。
第8節 請求書類の不備
Q24 被保険者から提出された請求書類に記入漏れ等の不備があった場合でも、請求手続は完了したことになりますか。
Q25 保険金請求書に次のような不備があった場合には、請求手続は完了したことになりますか。
 ① 保険金請求者欄に氏名の記載がない場合
 ② 保険金請求者の押印がない場合
 ③ 事故発生状況についての記載がない場合
 ④ 損害品の申告欄の記載がない場合
 ⑤ 書類の記入日の記載がない場合
 ⑥ 振込口座の記載がない場合
Q26 保険金請求書に振込口座の記載がなかった場合において、請求者からの振込口座の連絡が遅れたために約款の履行期を経過した場合でも、保険会社は遅延損害金を支払わなければならないのですか。
Q27 5月1日に保険事故が発生し、5月15日に請求書類一式が提出されたものの、保険金請求書に振込口座の記載がなかったため、保険会社から振込口座を連絡するよう依頼しました。その後、6月5日に損害調査がすべて終了したものの、結局6月20日になってようやく振込口座の連絡があったため、6月25日に保険金の支払が完了しました。この場合に、保険会社は30日の履行期を過ぎたことによる遅延損害金を支払う必要はありますか。
第9節 追加書類の提出
Q28 損害の見積書を含むすべての請求書類が提出され、いったん請求手続が完了した後に、新たな見積書を提出して追加の損害保険金の請求があった場合には、追加分の保険金請求についてはどの時点から履行期が起算されますか。
Q29 約款等で定める請求書類以外に保険会社が追加で求めた書類の提出が遅れたために約款の履行期が経過した場合でも、保険会社は遅延損害金を支払わなければならないのですか。
第10節 履行期の起点に関するその他の問題
Q30 傷害保険において、入院保険金と通院保険金の請求が同時に行われ、請求書類である診断書(診療状況報告書)の提出を受けましたが、その書類には入院日数の記載はあったものの、通院日数の記載がありませんでした。この場合には、入院保険金と通院保険金の両方について、請求手続が完了したことになりますか。
Q31 傷害保険において、入院保険金と通院保険金の請求がありましたが、提出された入院と通院に関する診断書の記載から、後遺障害が残る可能性があることがわかりました。この場合には、後遺障害保険金についても、請求手続が完了したことになりますか。
Q32 賠償責任保険において、被害者に対する賠償をした後に被保険者が保険金請求をした場合には、示談書等の賠償関責任を裏付ける資料の提出がなかったとしても、請求手続は完了したことになりますか。提出された示談書に不備があった場合には、どうなりますか。
Q33 いわゆる内払の請求があった場合について、保険給付の履行期はどのように考えることになりますか。
Q34 分割払保険料が未払の間に保険事故が発生した場合には、保険料が未払のままであっても、請求書類が提出された時から履行期は起算されることになりますか。
第11節 履行期の延長事由
Q35 約款で30日よりも長い履行期が定められているのは、どのような場合ですか。
Q36 履行期の延長理由である「警察、検察、消防その他の公の機関による捜査・調査結果の照会」には、どのようなものが含まれますか。
Q37 履行期の延長理由である「医療機関、検査機関その他の専門機関による診断、鑑定等の結果の照会」には、どのようなものが含まれますか。
Q38 履行期の延長理由である「後遺障害の内容およびその程度を確認するための、医療機関による診断、後遺障害の認定に係る専門機関による審査等の結果の照会」には、どのようなものが含まれますか。
Q39 履行期の延長理由である「災害救助法が適用された災害の被災地域における調査」には、どのようなものが含まれますか。
Q40 履行期の延長理由である「日本国内において確認を行うための代替的な手段がない場合の日本国外における調査」には、どのようなものが含まれますか。
Q41 大規模な損害を伴う事故が発生し、損害の確認や損害額の算定に膨大な時間がかかった場合には、履行期は30日よりも延長されることになりますか。
Q42 調査会社からレポートが提出されるまでに時間がかかった場合には、履行期は30日よりも延長されることになりますか。
Q43 約款で定める延長理由に該当したものの、実際の調査がそれぞれの履行期よりも前に終了した場合には、保険会社は調査終了時から遅延損害金を支払うことになりますか。
Q44 履行期の延長事由に該当した場合には、保険会社から被保険者に対してその旨を通知する必要はありますか。
第12節 遅滞の時期
Q45 保険契約者や被保険者が正当な理由なく必要な事項の確認を妨げ、またはこれに応じなかったものとして、保険会社が遅滞の責任を負わないのは、どのような場合ですか。
Q46 保険会社からの必要書類の案内が著しく遅れ、これにより被保険者からの保険金請求が大幅に遅延する結果となった場合には、保険会社は遅滞の責任を負うことになりますか。
Q47 保険金を支払った後に、請求があった保険金の算出に一部誤りがあったことが判明したため、保険会社が追加支払を行いました。この場合には、どの時点から遅延損害金を支払うことになりますか。
Q48 病院側の事情により医療調査に時間がかかった場合であっても、約款で定めた履行期を経過した日から保険会社は遅滞の責任を負うことになりますか。
Q49 被保険者の指定口座に保険金の支払をしようとしたところ、振込口座の記載に誤りがあったために振込みができず、これにより履行期を経過した場合でも、保険会社は遅延損害金を支払うことになりますか。
Q50 履行期が到来する前に保険会社が支払保険金の提示を行ったにもかかわらず、被保険者がその金額に納得せず、これにより履行期を経過した場合には、後日被保険者との合意が成立して保険金を支払ったとしても、合意に至るまでの期間について保険会社は遅延損害金を支払うことになりますか。
Q51 保険会社が協定を行うために客観的にみて合理的な金額の提示を書面で行ったものの、被保険者が旅行中であったために何週間も連絡がとれなかった場合には、その連絡がとれない期間についても保険会社は遅延損害金を支払うことになりますか。
Q52 車両保険において、保険会社が修理代金を修理工場に支払う場合には、保険会社は約款で定めた履行期を経過した日から遅延損害金を支払う必要がありますか。
第13節 その他
Q53 賠償責任保険金や傷害保険における入院保険金について、保険金請求権の発生前に請求書類が提出された場合には、どの時点から履行期が起算されますか。
Q54 賠償責任保険において、被保険者と被害者との間で示談が成立するまでの期間については、保険会社は保険金に対する遅延損害金を支払う必要がありますか。
Q55 複数の保険金の請求が同時に行われた場合に、各保険金の調査が終わった後に一括して支払うとすることは可能ですか。
Q56 約款で定めた履行期を過ぎた場合に保険会社が支払う遅延損害金の利率は、何パーセントですか。
Q57 約款で定めた履行期を過ぎて保険金を支払う場合には、保険会社の入金処理が完了した日と被保険者の口座に着金した日のどちらを基準に遅延損害金を支払うことになりますか。
Q58 遅延損害金を計算する際の期間については、営業日ベースでカウントするのですか、歴日(土日祝日を含む)ベースでカウントするのですか。
Q59 企業分野の保険の約款では、保険金の支払時期についてどのような規定が設けられていますか。
第2章 重複保険
第1節 総論
Q60 保険法では、重複保険について、どのような規定が設けられていますか。
Q61 同一の建物について複数の保険会社との間で火災保険契約が締結されている場合には、被保険者はどのような割合で各保険会社に保険金の請求をすることができますか。
Q62 複数の保険会社が同一の損害について保険金を支払う責任を負う場合において、一部の保険会社が保険金を支払った場合には、他の保険会社に求償することができますか。
第2節 求償権の範囲
Q63 新価(再調達価値)基準による保険契約と時価基準による保険契約が重複した場合には、保険会社はどのような割合で求償をすることができますか。
Q64 全部保険の契約と一部保険の契約が重複した場合には、保険会社はどのような割合で求償をすることができますか。
Q65 全額支払方式の保険契約と按分支払方式の保険契約が混在した場合には、保険会社はどのような割合で求償することができますか。
Q66 同一の保険会社の中で複数の保険契約が締結されている場合でも、各契約の間で求償関係が生じることになるのですか。
Q67 同一の建物について時価基準による火災保険といわゆる上乗せ価協契約が締結されている場合には、求償関係が生じすることになりますか。
第3節 その他
Q68 重複契約の一部に質権が設定されている場合において、質権設定のない保険契約から損害額の全額の保険金が支払われたときは、質権の効力はどうなりますか。
Q69 履行期を過ぎた保険金の支払であったために、保険会社が遅延損害金を付して保険金を支払った場合には、重複他社に対して遅延損害金を含めて求償することができますか。
Q70 保険金請求の際に、被保険者は他の保険契約の存在を保険会社に通知する義務はありますか。
Q71 重複保険の場合において、一部の保険会社からすでに保険金が支払われていることを知らずに、別の保険会社が保険金を支払ったときはどうなりますか。
第3章 告知義務違反
Q72 保険法では、告知義務違反について、どのような規定が設けられていますか。
Q73 保険契約申込書に記載された事項に不正確な記載があった場合には、保険金は支払われないのですか。
Q74 告知義務違反があった場合には、告知されなかった事実と無関係に保険事故が発生した場合でも、保険金は支払われないのですか。
Q75 他の保険契約の有無について正しい告知をしなかった場合には、保険金は支払われないのですか。
Q76 リスク細分型の自動車保険において、①運転免許証の色、②被保険自動車の使用目的、③走行距離について事実と異なる告知をした場合には、保険金は支払われないのですか。
Q77 告知義務違反の事実が判明した場合には、保険会社はいつまでに解除の通知をしなければなりませんか。
第4章 危険増加(通知義務)
Q78 保険法では、危険の増加について、どのような規定が設けられていますか。
Q79 火災保険において、建物の用途を専用住宅から店舗併用住宅に変更した場合には、被保険者は保険会社に通知をしなければなりませんか。この通知が遅れた場合には、保険金は支払われないのですか。
Q80 自動車保険において、被保険自動車の使用目的を日常・レジャー使用から業務使用に変更した場合には、被保険者は保険会社に通知をしなければなりませんか。被保険自動車の登録番号を変更した場合はどうですか。
Q81 通知義務違反があった場合には、通知しなかった事実と無関係に保険事故が発生した場合でも、保険金は支払われないのですか。
Q82 傷害保険において、契約締結後に職業が変更した場合には、被保険者は保険会社に通知しなければなりませんか。この通知を怠った場合には、保険金は一切支払われないのですか。
Q83 保険契約の締結後に別の保険会社との間で補償内容が同一の保険契約を締結した場合には、保険会社に通知をしなければなりませんか。
Q84 被保険自動車を譲渡した場合には、被保険者は保険会社に通知をしなければなりませんか。この場合に、譲渡後遅滞なく通知をすれば、譲渡時にさかのぼって補償が受けられることになるのですか。
Q85 保険金額の増額や年齢条件の変更についても、保険事故の発生後に「遅滞なく」通知をすれば、新たな契約条件に従って保険金が支払われるのですか。
Q86 保険会社から保険契約者に追加保険料の支払を請求したにもかかわらず、その支払がなかった場合には、保険会社は保険契約を解除することができますか。この場合には、すでに発生した保険事故については保険金を支払う必要はありますか。
Q87 保険契約の締結後に危険の増加があり、重要事項説明書に記載された引受範囲外となった場合には、保険会社は保険契約を解除することができますか。危険増加を生じさせた事実と保険事故との間に因果関係がない場合には、保険会社は保険金を支払うことになりますか。
第5章 責任保険の先取特権
Q88 保険法では、責任保険の先取特権について、どのような規定が設けられていますか。
Q89 賠償責任保険の被害者が先取特権を実行するためには、どのような手続をとる必要がありますか。
Q90 裁判所から保険金請求権の差押命令書が届いた場合には、免責事由に該当する場合や保険金額を超過する場合でも、保険会社は保険金を支払わなければならないのですか。
Q91 賠償責任保険において、被保険者が保険金を受領することができるのは、どのような場合ですか。被害者の承諾を取得するにあたっては、どのような点に注意する必要がありますか。
Q92 賠償責任保険において、先取特権の実行手続がとられていない場合でも、保険会社は被保険者の了解を得て、被害者に対して直接保険金を支払うことはできますか。
Q93 賠償責任保険において、被保険者と被害者との間で示談が成立していない場合であっても、被害者は保険会社に対して直接保険金の請求をすることができますか。
Q94 同一の保険金の枠内で賠償保険金と費用保険金が支払われる場合には、賠償保険金と費用保険金のうち、どちらを先に支払うことになりますか。
Q95 賠償責任保険において、事故発生後に被保険者が生死不明になったような場合に、保険会社が被害者からの請求を認めて任意に保険金を支払うことは禁止されませんか。
Q96 賠償責任保険において、1回の事故で複数の被害者が発生した場合に、示談が成立した被害者から順に保険金を支払うことは可能ですか。この場合に、一部の被害者との間の示談が成立する前に、支払限度額に到達したばあいには、残った被害者は保険金を請求することができますか。
第6章 保険会社による代位
Q97 火災保険において全損となり、保険会社が保険金の全額を支払った場合には、残存物の所有権は誰に帰属することになりますか。
Q98 一部保険において保険会社が保険金の全額を支払った場合には、保険会社はどのような割合で残存物の所有権を取得することになりますか。
Q99 約款で、損害額の全額について保険金が支払われた場合でも残存物についての所有権は保険会社に移転しないとすることは可能ですか。
Q100 建物の火災保険において、第三者の加害行為によって損害が発生した場合には、保険金を支払った保険会社は、どのような割合で加害者に対する損害賠償請求権を取得することになりますか。
Q101 保険金額800万円、保険価額1000万円の保険契約が締結されている場合において、第三者の加害行為により500万円の損害が発生し、保険会社が400万円の保険金を支払いました。被保険者と加害者との過失割合が4:6である場合に、保険会社は加害者に対していくらの損害賠償請求権を取得することになりますか。
Q102 建物を保険の目的物とする火災保険(全部保険)において、第三者の加害行為によって生じた建物の損害1000万円について保険金が支払われましたが、同一の事故により保険を付保していない家財にも500万円の損害がありました。
第7章 重大事由による解除
Q103 被保険者が故意に保険事故を発生させようとして失敗した場合や保険金請求の際に詐欺を行った場合など、保険会社との信頼関係を著しく損なうような行為があった場合には、保険会社は保険契約を解除することができますか。
Q104 約款における「保険会社の保険契約者等に対する信頼を損ない、保険契約の存続を困難とする重大な事由」にはどのようなものが含まれますか。
Q105 保険会社が重大事由を理由に保険契約を解除した場合には、すでに発生した保険事故についても免責となるのですか。
Q106 保険契約者または被保険者を同一にする別の保険契約について重大事由が発生したことを理由に、保険会社は保険契約の解除をすることはできますか。
Q107 保険事故の発生後に被保険者が保険会社にただちに通知をしなかった場合には、保険金は支払われなくなるのですか。
Q108 保険金の請求にあたり、被保険者が請求書類に虚偽の記載をした場合には、保険金は支払われなくなるのですか。
第8章 その他
第1節 被保険者の解除請求
Q109 傷害保険において、被保険者の同意なく保険契約が締結されている場合に、被保険者は保険契約者に対して契約の解除を請求することができますか。保険契約者がこれに応じなかった場合にはどうなりますか。
Q110 傷害保険において、被保険者から直接保険会社に対する解除請求が認められる場合はありますか。
Q111 傷害保険に個人賠償責任補償特約が付帯されている場合に、被保険者が主契約である傷害保険の解除請求をした場合には、個人賠償責任補償特約だけが存続することになるのですか。
第2節 損害額の算定
Q112 いわゆる評価済保険において、当事者が約定した保険価額が著しく高額であることを理由に、保険金の支払を減額することができるのはどのような場合ですか。また、「著しく超えるとき」にあたるかどうかはどのような基準で判断されますか。
Q113 約定保険価額が事故発生時の目的物の価額を著しく超えていた場合には、どの範囲で保険金が支払われますか。この場合に、目的物の価額を超える部分についてすでに支払った保険料は返還されるのですか。
第3節 保険料不可分の原則
Q114 年払契約においての以下の場合に未経過の保険期間に対応する保険料を保険会社は返還する必要がありますか。
 ① 詐欺により保険契約が取り消された場合  ② 告知義務違反による解除がされた場合  ③ 全損により保険金が支払われる場合 第4節 経過措置
Q115 保険法の規定は、既存の保険契約にも適用されるのですか。
参照条文

 

少々気になることがあります。Q6~8では保険金請求書類が重要事項説明書に書かれている前提になっていますが、最近は重要事項説明書の本体に記載していないのが一般的かと思います。
現在は、重要事項説明書の簡素化の流れで日本損害保険協会の「契約概要・注意喚起情報(重要事項)に関するガイドライン」やそれを踏まえた標準例に保険金請求書類は、重要事項説明書内にありません。平成26年の保険業法改正でもそれが確定されたものとなっていますが、さすがにこの辺りの内容は、この本が出版された後のことなので反映されていません。
上記のことは致し方のないことではありますが、この件に限らず、重要事項説明書に何でも記載されているように書かれているように感じます。

書籍「私たち損害保険代理店の事業継続計画」

「私たち損害保険代理店事業継続計画」
株式会社 新日本保険新聞社

2014年(平成26年) 3月10日 初版発行

野元 敏昭,野崎 洋之,岩瀬 健太 著

野元 敏昭
一般社団法人日本損害保険代理業協会専務理事
1978年4月 東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)入社。代理店部、経営企画部、営業開発部部長、高松支店長等を経て、2009年6月 現職に就任。
現在は損害保険代理店を取り巻く環境整備及び損害保険代理店の社会的認知度向上のための活動に取り組んでいる。

野崎 洋之
株式会社野村総合研究所金融ITイノベーション研究部上級研究員
1999年4月 大東京火災海上保険入社。その後、東京大学大学院、ムーディーズジャパンを経て、2008年7月 野村総合研究所(コンサルティング事業本部)入社。
現在は金融ITイノベーション事業本部にて、リスクマネジメント及びリスクファイナンスに関する調査・研究・コンサルティング業務に従事している。

岩瀬 健太
株式会社野村総合研究所社会システムコンサルティング部副主任コンサルタント
2008年4月 野村総合研究所(コンサルティング事業本部)入社。
入社以来、コンサルティング事業本部にて、保険制度・商品設計に関する調査・研究・コンサルティング業務に従事している。

 

まず、読み始めて思ったのが、1ページあたりの文字数が少ないということです。言い換えれば、文字が大きくて読みやすいということです。
内容に関しては真ん中あたりの「3.事業継続計画」から読めば十分なような気がします。尤も私は保険代理店で働いているわけではないので、ピンときませんが。
保険会社の場合、事業に影響があるような重大な緊急事態になった場合には保険募集を一時ストップしてでも保有契約の保全や保険金支払業務を優先して業務を継続させることとしているはずです。その上で事態が沈静化したら、元の状態にしていくことになります。特に本書に書かれていないようですが、保険代理店の事業継続計画についても保険会社の事業継続計画とリンクしておいた方が望ましいのではないかと思います。

 

【目次(抜粋)】

1.東日本大震災と損害保険
 1.1 東北地方太平洋沖地震の発生、その被害
 1.2 損害保険業界の対応
 1.3 損害保険代理店の活躍と苦悩
2.今後、私たちを待ち受ける危機
 2.1 地震災害
 2.2 大規模水害
 2.3 新型インフルエンザ(パンデミック
 2.4 その他
3.事業継続計画
 3.1 事業継続計画とは
 3.2 国内外の動向
4.損害保険代理店事業継続計画
 4.1 事業継続計画の策定にあたって
 4.2 事業継続計画策定の方針
 4.3 事業継続計画策定の推進体制
 4.4 想定リスクの選定
 4.5 災害シナリオの設定・被災シナリオの評価
 4.6 業務の洗い出しと重要業務の選定
 4.7 復旧目標の検討
 4.8 有事の際にのみ発生する業務
 4.9 重要な要素の抽出
 4.10 事前の対策、事後の対応
 4.11 文書化と関係者間での共有
5.おわりに
 5.1 損害保険代理店に期待される機能
 5.2 地域のリスクマネージャーとして
 5.3 災害時にこそ活躍を
附録〔大規模震災時の行動指針〕

 

書籍「交通事故民事裁判判例集 第42巻 第4号」(P.1122~1128)


書籍「交通事故民事裁判判例集 第42巻 第4号」

二 争点
(1) 本件免責約款による免責の可否(原告が本件免責約款の「配偶者」に該当するか否か。)
(被告保険会社の主張)
ア 本件免責約款の「配偶者」は、内縁の配偶者も含むものであり、この場合の内縁の存否は、本件免責約款の制度趣旨を加味して解釈するのが相当である。原告と太郎とは、本件事故前から愛知県海部郡蟹江町内のアパート(以下、「本件アパート」という。)において、後記イのとおり、婚姻意思を有して事実上の夫婦として共同生活を営んでいたから、本件事故当時、原告と太郎とは内縁関係にあった。したがって、本件免責約款の適用により、被告保険会社は、原告に対し、本件保険契約に基づく保険金支払義務を負わない。
イ 原告と太郎との内縁関係の存在を根拠づける事情等
(ア)原告と太郎とが共同生活の開始に当たって二人で新たに本件のアパートを借りていること、約1か月経てば原告名義で賃貸借契約することが可能であったのに太郎名義で契約していること、被告乙山が同契約に連帯保証しており、双方の親も公認していたことなど、本件アパートの契約過程からすると、婚姻意思に基づき共同生活を熱望していた原告及び太郎が、親の同意の下、二人の生活の本拠とすべく本件アパートを契約したといわざるを得ず、単なる同棲の開始とは明らかに異なる。現に、原告は、損害保険調査会社の調査において太郎と結婚する予定で一緒に住んでいた旨回答している(乙ロ8号証)。したがって、原告と太郎との間には同居開始時に既に婚姻意思が存在していた。
(イ)原告及び太郎が衣食住に関する生活費を共同で負担していたこと、原告が本件車両を20回中5回程度の頻度で自ら運転していたことなどからすると、同居開始後、原告と太郎との間には、夫婦と認められる程度の共同生活が成立していたといわざるを得ない。
(ウ)原告は、現在も太郎の冥福を祈り、実家の仏壇で供養するほどの哀悼、冥福の意を有しているから、原告と太郎との間には、単なる同棲相手という関係を超えた、夫婦としての精神的結びつきが存在していたと言わざるを得ない。
(原告の主張)
 原告は、太郎の内縁の妻ではない。
 内縁とは、男女関係の社会的な質が「婚姻意思」に基づいた共同生活であることを要件とするものであり、婚姻に至らない、又は婚姻を想定しない恋愛関係は、内縁とは区別され、俗に「同棲」と呼ばれる関係である。
 原告と太郎とは、交際開始後5か月足らずで同棲に至ったものであり、当時、原告19歳、太郎20歳と若年であった。原告及び太郎のいずれの親族も原告と太郎との婚姻を予定しておらず、原告及び太郎を夫婦として扱った客観的主観的な形跡もない。本件アパートの賃貸借契約書には原告は「友人」として記載されており、転居に際しては、原告自ら転居費用を支出し、自ら電化製品を揃えていた。また、原告及び太郎は、各自が別途に収入を得ており、同棲後も、最低限必要な生活費は共同で負担していたが、基本的には各自が自己の資産を管理する完全な別産制であった。
 このように、原告と太郎の同棲には、婚姻意思の存在を根拠づける事実は認められないから、およそ内縁とは認められない。
 -略-
第三 争点に対する判断
一 争点(1)(本件免責約款による免責の可否)について
 -略-
(2) 本件免責約款の「配偶者」に内縁の妻が含まれることについては原告も特に争わないから、本件における主たる争点は、原告と太郎との間に内縁関係が認められるか否かであるところ、内縁関係は、社会的な婚姻関係であるから、これが認められるか否かは、婚姻意思をもってする夫婦共同生活の実態が存在するか否かによって判断すべきものと解される。
・・・
 以上検討したところによれば、原告と太郎との間には、同居開始の際にもその後にも、婚姻意思があったとは認められないというべきであり、婚姻意思の存在が認められない以上、原告と太郎との間に内縁関係があったと認めることはできないから、原告は、本件免責約款の「配偶者」に該当せず、本件免責約款は適用されない。

これも内縁の配偶者の判断について、非常に興味深い判例です。
内縁の判断のポイントの1つは婚姻意思があったか否かですが、仮に本人たちにはあったとしても、その親が認めていない場合には、総合的に考慮すると婚姻意思なしと判断されることになったようです。この点に関しては、ある程度は口裏を合わせて、証拠などについても解釈を変えてしまうことも不可能ではないと思います。(この件がそうであると言いたいのではないので、念のため。)
同居は客観的に確認できても、本人たちの主観に基づく部分があると一律に判断基準を作って運用するのはやはり難しいと感じられます。

 

書籍「交通事故民事裁判判例集 第42巻 第4号」(P.945~950)


書籍「交通事故民事裁判判例集 第42巻 第4号」

名古屋地裁 平成21年7月21日判決
・・・
二 争点
(1) 原告甲野と三郎は内縁と認められるか。
(原告甲野の主張)
 原告甲野と三郎とは、平成13年1月ころから愛知県西春日井郡豊山町内で同居して生活を営んでいた内縁の夫婦で、平成18年6月ころ入籍する予定であった。
(原告丙川両名の主張)
 原告甲野は、三郎を内縁の妻ではない。内縁の妻というには、婚姻の意思と夫婦共同生活との存在を要するところ、三郎の父母は入籍の話を聞いていない。
・・・
第三 当裁判所の判断
一 争点(1)(原告甲野と三郎は内縁と認められるか。)
(1) 証拠・・・によれば、以下の事実が認められる。・・・
 原告甲野は、平成12年ころ三郎と知り合った。
 平成13年1月ころから原告甲野の住所で、三郎が入り込む形で同居生活が始まった。各自の車を保有していたが保有していたが、それぞれが他方の保有する車を運転して使用することもあった。
 三郎は、原告甲野のアパートから仕事に行っていた。三郎は、実家へも週1回程度行っていた。原告甲野のアパートと実家は車で5分程度の距離である。
 三郎の郵便物のうち、重要なものは原告甲野方に届くようにしていた。三郎は、印鑑登録手帳、資格証は原告甲野方に置いていた。また、給与明細書も置いていた。
 三郎の住民票上の住所は実家の住所のままにしていた。
 三郎は、名古屋地方裁判所で、平成14年12月27日破産宣告、同時廃止の決定を受け(甲イ38)、さらに平成15年3月28日免責決定を受けている(甲イ39)。
 その後は、三郎の収入は原告甲野が管理するようになった。
・・・
(2) 以上のとおり、原告甲野と三郎との同居生活は5年に渡っており、生計も同じにしていた者であって、内縁の妻と推認される。両者の住民票上の住所が異なっており、また、婚姻予定の関係が必ずしも明確ではないことは、同居期間の長さに照らすと、前記結論を左右するものではない。

 

内縁の配偶者の判断について、非常に興味深い判例です。判決自体には違和感はなく、妥当だろうと思います。
自動車保険において一般的に内縁の配偶者とは「事実上の婚姻関係にあるが、戸籍上の届出をしていないため法律上の配偶者とされない者」とされます。 配偶者かどうかは被保険者の範囲だけではなく、特に自動車保険においてはノンフリート等級の継承にも大きな影響があるため、実務上は一定の判断基準を現場に下して運用しているはずです。 その判断の1つに同居、そして同居の証明はあると思います。
この判例は、夫婦同然の実態が5年に渡って継続されたことで以って内縁と認めたということかと思います。 個別事案としてならともかく、実務上の一律の判断基準で同じ判断をするのは難しいのではないかと思われます。

 

書籍「交通事故民事裁判判例集 第42巻 第4号」

書籍「交通事故民事裁判判例集 第42巻 第4号」

「交通事故民事裁判判例集 第42巻 第4号」
株式会社ぎょうせい

2010年(平成22年) 7月9日 第1刷発行

不法行為法研究会

 

冒頭で「学問上又は実務上意義があるものを選択して」と書かれているとおり、興味を引く判例がいくつかありました。
しかも、目次に要旨が書かれており、また本文もポイントとなる箇所は太字にされていたり、線が引かれていたりして読み易く工夫されています。
ただ、普通の本のように先頭から全部読もうとするときついです。これはこの手の本の性質上の仕方のないことだと思いますが。

 

【目次(抜粋)】

東京地裁 平成21年7月8日(平20(ワ)17566)
千葉地裁     7月14日(平20(ワ)2406)
東京地裁     7月14日(平19(ワ)35283)
大阪地裁     7月15日(平20(レ)206,226)
岡山地裁     7月16日(平20(ワ)302)
東京地裁     7月21日(平19(ワ)35178)
東京地裁     7月23日(平19(ワ)12315)
神戸地裁     7月27日(平19(ワ)2859)
名古屋地裁    7月29日(平18(ワ)5246,平19(ワ)1047)
大阪地裁     7月30日(平19(ワ)4844)
神戸地裁     8月3日(平20(ワ)1889)
京都地裁     8月6日(平21(ワ)988)
佐賀地裁     8月7日(平20(ワ)141)
京都地裁     8月10日(平21(ワ)95)
京都地裁     8月10日(平21(ワ)50)
東京地裁     8月24日(平20(ワ)7794)
大阪地裁     8月25日(平18(ワ)9064)
東京地裁     8月26日(平20(ワ)10051)
さいたま地裁   8月26日(平17(ワ)901,1581,1652,平18(ワ)374)
岡山地裁     8月26日(平20(ワ)1758)
東京地裁立川市部 8月27日(平20(ワ)2718)
岡山地裁     8月27日(平20(ワ)981)
名古屋地裁    8月28日(平19(ワ)4751,平20(ワ)4392)
大阪地裁     8月31日(平20(ワ)16631)

 

書籍「損害保険研究 第75巻 第4号」(P.74~77)


書籍「損害保険研究 第75巻 第4号」

約定価額の拘束力 -損害保険契約における利得禁止原則に関連して-

中出 哲

早稲田大学商学学術院教授

 

保険法18条2項は、但書の部分を含めて、改正前商法639条とほぼ同じ内容であり、立法者も規律の変質はしていないとする。そこで、改正前商法における裁判例をみてみると、裁判で約定保険価額が保険価額を著しく超えるとみるレベルの基準が直接の争点となったことはなく、著しく超えるとの認定が下された事案も限られていて、裁判例から一般的基準を抽出することは難しい状況にある。
 -略-
平成になってから裁判例(平成10年12月16日大阪高裁判決)があり、それを詳しく見ておく。中古のBMW社製自動車が協定保険価額800万円(内付属品部分100万円)として車両保険(自家用自動車総合保険の価額協定条項付)に付けられたが、それが盗難されたとして損害保険会社に車両保険金の請求がなされた。価額協定条項では、同種の自動車保険の市場販売価格相当額を被保険自動車の価額として協定し、その価額を保険金額として定め、市場販売価額を自動車保険車両標準価格表により定めることとなっていた。標準価格表によれば、同等の車両の価格は585万円から750万円であった。しかしながら、当該車両は、通信販売の安売り業者から365万円(車両価格328万円+税金・自賠責・その他の費用)で購入したものであることが、事故後に判明した。
 -略-
本判決を検討すると、この批判のとおり、実際の取得額をもとに損害てん補を行うと財産価値のある財物を現実に享受しているにもかかわらず、たまたま市場価格より低く調達した場合にその価値がてん補されないという問題が生じる。それは適当でないことは明らかである。しかしながら、本判決は現実に支出した代金でもって保険価額とした根拠として、事故後に同様の激安店で購入したら購入時の価格を上回ることはないと説明していることから、保険価額を標準価格表によるとする約款上の合意も否定し、市場で調達可能な価額を保険価額として採用したものと理解できる。いずれにせよ、何をもって保険価額とするかは議論があろうが、仮に、認定できる保険価額が353万円とすれば、本件では約定保険価額の2.1倍を著しく過大と認定したことになる。この乖離が小さすぎるとの批判は特になされていない。

 

超過保険自体は損害保険に関わっている人間として当然に理解しています。
しかし、判例自体が少なく、またそこから一般的基準を抽出するのが困難とは知りませんでした。意外です。

ここで紹介された事案では、保険価額の2.1倍なら過大とされたとのことです。高額な車両であったために利得の絶対額が大きくなったことも判断の一因になったのではないかと思いますが、それでも一例として参考となります。



書籍「損害保険研究 第75巻 第4号」

「損害保険研究 第75巻 第4号」
公益財団法人 損害保険事業総合研究所

2014年(平成26年) 2月

いろんなものが書かれているので自分の興味をひくものとひかないものがありますが、内容がディープなので、当たれば非常に参考になり、また勉強になります。
今回は当たりが多かったです。

 

【目次(抜粋)】

回顧
 損害保険契約法改正試案と保険法
記念論文
 保険事業と独占禁止法
 米国原子力損害賠償法(PA法)責任法理の展開
 約定保険価額の拘束力
 吐物誤嚥事件と傷害保険における外来性要件
 自然災害補償と官民役割分担
 予防医療と検査入院における民間保険の役割
 重大事由解除に関する一考察
 ベルギーにおける権利保護保険について
 地震と損害保険会社の株価
 保険事故の要件論を巡る最高裁判例・下級審裁判例・学説の緊張関係
研究会報告
 わが国の海上保険法制のあり方について
講演録
 国際保険規制の最近の動向
<損害保険判例研究>
 自動車保険契約における自動車免許証の色の告知において告知義務違反の事実を保険会社が知らなかったことにつき過失がなかったとして保険契約の解除が認められた事例
 自賠責保険の満期切れについて任意保険会社には契約確認の付随義務はないとされた事例
<研究所事業所紹介>
 損保総研創立80周年記念シンポジウム開催報告
 2013年度上期調査・研究報告書/損保総研レポート105号(2013年10号)